国松工務店【R+house 名古屋西・緑・東海】編集部
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長寿命住宅 家づくり
2023.5.8
みなさんは、マイホームを建てる際にどのようなポイントを重視しますか?
間取りやデザイン、断熱性、省エネ性など、こだわらなくてはいけない点はたくさんあります。
これらのポイントと合わせて検討すべき点が「住まいの調湿性」です。
日頃あまり意識していないかもしれませんが、室内を適切な湿度に保つことで、多くのメリットを得られます。
そこで今回は、調湿の基礎知識やメリット・必要性から、おすすめの建築材料、気になる疑問についてまで、詳しく解説します。
これからマイホーム計画を始める方はもちろん、今のお住まいをより快適にリノベーションしたい方もぜひ参考にしてください。
コラムのポイント
■「調湿」とは湿度を適切な状態に調節することで、設備を使って強制的に行う方法と、調湿材を用いて自然に行う方法があります。
■住まいに調湿性建材を取り入れると、住む人の寿命だけではなく家そのものの寿命も延ばすことができます。
■“R+house・国松工務店”は、「温度と空気のデザイン」をコンセプトに、省エネ性の高い快適な家づくりをご提案いたします。
「調湿」とは、ずばり“湿度を調節すること”を意味します。
湿度が高ければ除湿をし、低ければ加湿をする一連の流れを総称し、調湿と呼ぶのが一般的です。
湿度とは、空気中の水分量割合を指し、同じ温度環境であっても、数値によって人の体感温度は左右されます。
実際に空間の体感温度を評価する指標として用いられているのが、「暑さ指数(WBGT)」。
乾球温度計・湿球温度・黒球温度計を用いて数値化されます。
室内の場合は、WBGT(℃)=0.7×湿球温度+0.3×黒球温度で算出し、WBGTが28℃を上回ると、熱中症の発症リスクが一気に高まるため、湿度は快適な環境を整えるのに欠かせないポイントです。(引用:環境省|熱中症予防情報サイト)
同じ温度であっても、湿度が高い環境では人は暑く感じ、低い環境では涼しく感じます。
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「調湿」は、私たち人間が快適に暮らす上で欠かせない要素ですが、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか?
それぞれ詳しく見てみましょう。
いくら室内をきれいに保っていても、カビなどの発生まで完全に防ぎ切ることはできません。
カビが生息するのに欠かせないのが水分ですが、相対湿度が60%以上になると繁殖が活発になると言われています。
逆に、空気中の湿気が少なくなれば、カビなどの微生物にとっては居心地の悪い環境になるということです。
微生物の生育に水分が不可欠であり、水が全く存在しない環境では全ての微生物が生育不可能である。
(中略)微生物が利用可能な水分は自由水のみである。
すなわち自由水とは、環境の温度、湿度の変化で容易に移動、蒸発および氷結が起こる水である。
自由水が減少すると生育速度の低下や生育が停止するなど自由水は微生物の増殖に非常に重要な因子となっている。
(引用:厚生労働省|カビ対策マニュアル)
結露の起きやすい窓周りや、湿気のこもりやすいキッチンや浴室には、何も対策をしなければカビが生えてしまいます。
先ほどもお話しした通り、湿度によっては温度がそれほど高くなくても熱中症を引き起こす恐れがあります。
また、逆に湿度が低く乾燥していれば、ウイルスなどが飛散しやすくなり、病気にかかるリスクが高まることは避けられません。
湿度が40%を下回ると、ウイルスに付着する水分が蒸発し始めて軽くなり、空気中に漂う時間が長くなると言われています。(参考:厚生労働省|令和3年度インフルエンザQ&A)
そして、意外と知られていないのがダニとの関係です。
ダニが繁殖するには60%以上の湿度・20〜30℃の温度環境が必要とされています。
室内で繁殖すれば、アトピー性皮膚炎やダニ媒体感染症のリスクが高まってしまうため、小さいお子さんやペットのいるご家庭では、特に注意しなくてはいけません。
このように、健康的な暮らしを送るための環境づくりに、温度と湿度の調節は欠かせません。
実際に、店舗やオフィス、学校など公共性が高い建物については、「建築物衛生法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)」にて温度・湿度に関する規定が定められています。
調湿するメリットは、私たち人間など快適な住環境を保つ点だけにとどまりません。
結露の発生を抑え、構造体などの木部を腐朽やシロアリ被害から守ることができます。
まず、木材の腐朽菌が繁殖する環境には4つの条件が必要です。
〈栄養〉
「木が腐る」ということは、菌(腐朽菌)が木材の成分を分解して養分とすることです。
〈温度〉
木材腐朽菌は、30℃前後が最も発育に適しており、3℃以下の環境では発生しにくくなります。
〈水分〉
大気中の湿気が多く木材の含水率が20%以上になると発生しやすくなり、20%を下回ると発生しにくくなります。
〈空気〉
腐朽菌は空気がないところでは発生しません。水中に浸かった木材が腐朽しないのはこのためです。
逆に言えば、このうちの一つでも揃わなければ、木材の腐朽は進まないということです。
そのため、建物の耐力を維持するために欠かせない主要構造部を湿気から守ることはとても重要となります。
合わせて家の寿命を左右するのが、「シロアリ」です。
シロアリは乾燥した環境では生息できず、繁殖するためにも湿気が必要です。
活動が最も活発化する湿度は70〜80%と言われているため、床下など地表から湿気が上がっている場所や、雨漏りしている箇所には特に注意しましょう。
古い住宅と異なり、最近の住宅は高気密高断熱なものが増えています。
外気温の影響を受けず室温が快適な状態に保たれる反面、どうしても室内湿度が下がり、乾燥が気になる方も少なくありません。
湿度が50%を下回ると、肌の角質層に含まれる水分が蒸発して、乾燥が進むと言われています。
過乾燥はウイルス飛散や肌荒れなどのデメリットをもたらすだけではなく、木造住宅の火事リスクも高めてしまいます。
実際に、国内の火災件数を見てみると、乾燥した冬場や風の強い春に多いことが分かります。
(引用:総務省消防庁|建物火災の月別火災件数)
調湿の方法には大きく分けて2種類あります。
加湿や除湿器、エアコンなどの設備を使い強制的に行う方法と、建築材料で緩やかに行う方法です。
前者は、確実かつスピーディに湿度を調節することができますが、その効果は設備機器のある空間に限定されます。
また、人が自発的に動かなくては調湿は行われません。
一方、後者は人が意識しない間も、調湿が行われます。
そのため、最近の住宅では、調湿性を持つ建築材料が多く用いられています。
では、実際にどのような材料が使われているのでしょうか?
消石灰(水酸化カルシウム)を原料とした塗り壁材で、空気中の水分を吸収するだけではなく、乾燥時にはそれを放出する性能を持ちます。
植物性プランクトンの死骸が蓄積されせて石化したものが珪藻土で、それを粉砕したものを塗り壁材として使用します。
細かな粒子を持つ構造をしているため、その空洞に空気中の水分を抱え込むことができるのです。
湿度が40%を下回ると水分を放出するため、室内の壁仕上げに使えば、高い調湿効果が期待できます。
漆喰や珪藻土に続いて最近採用事例が増えているのが、シラス壁。
火砕流が蓄積したものをシラスと呼び、その素材は高純度無機質セラミック物質です。
空洞が多数ある微粒子であるだけではなく、除湿剤の原料である珪酸を含むため、高い調湿性能を持ちます。
また、粒子の空洞に匂い成分を取り込むことも分かっており、消臭効果も期待できます。
【調湿クロス(吸放湿壁紙)】
紙おむつなどに含まれる吸水性ポリマーを使い、湿度の高い状態では水分を吸収し、乾燥時にはそれを放出します。
一般的な壁紙と比べると色柄の選択肢が限定されますが、各メーカーがいくつかの商品を製造していますので、トイレや洗面脱衣場などにぜひ採用してみてください。
【珪藻土クロス・木質クロスなどの天然素材壁紙】
珪藻土などの塗り壁は施工時間や乾燥時間が必要となる点がデメリットですが、それを解消できるのが珪藻土クロスです。
そのほかにも、木のシートや網代、麻を用いた天然素材壁紙も、一般的なビニルクロスと比べると調湿性があるとされています。
エコカラットを初めとした調湿タイルも多く、デザインのレパートリーが豊富なので、意匠的な観点で選ぶ事例も増えています。
湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出。
エコカラットプラスは、すぐれた調湿性能で快適な湿度を保とうとします。その効果は珪藻土の約6倍、調湿壁紙の25倍以上もあるんです。
だから結露を抑え、カビやダニの繁殖の抑制も期待できる。洗濯物の部屋干しにも、おすすめです。
(引用:LIXIL)
調湿性が高い建築材料の代表格が「天然木材」です。
木は伐採前に含水率100〜200%と多くの水を含んでいますが、建築材料として使われるまでに15〜30%程度にまで乾燥させます。
そのため、内装材として施工された後も、細胞内に空気中の湿気を吸収し、乾燥時にはそれを放出することができるのです。
その効果は、ビニルクロスなどと比べても段違いで、大きな効果が期待できます。
(引用:林野庁|木材は人に優しい)
施工面積が広ければ広いほど高い効果が期待できるため、無垢フローリング材や板張り壁・板張り天井などを、ぜひ取り入れてみてください。
コルクも天然由来の建築材料です。
コルク樫(かし)の樹皮を細かく粉砕し、それを押し固めて作ります。
気を伐採せずに樹皮だけ採取して作るため、サスティナブル建材としても期待されています。
樹皮由来なので、無垢材と同じような調湿効果があります。
畳の主原料であるイ草は、繊維と繊維の間に多くの空洞があるため、そこに水分を吸収し、放出する点がメリットです。
さらに、シックハウスの原因物質であるホルムアルデヒドや、光化学スモッグに含まれる二酸化窒素を吸着する効果があることも分かっており、空気浄化作用も期待できます。
床下は、どうしても地表からの湿気がこもりやすい上に、家の荷重を支える土台などの構造部があります。
そのため、湿度の調節が欠かせません。
竹炭・備長炭、石灰などの素材を原料とした床下調湿材がありますので、ぜひそれらを採用してみましょう。
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調湿性を持つ建築材料の中でも、その性能が永続的なものと、ある程度の年数が経てば効果が薄れるものがあります。
例えば、漆喰は10〜20年もすると表面が剥がれ落ちて調湿性がなくなりますし、壁紙も5〜10年で寿命を迎えます。
一方、無垢材や畳の調湿効果は、半永久的に持つと言われています。
つまり、材料を選ぶ際には、コストと耐久性の両方を見て、検討しなくてはいけません。
“R+house・国松工務店”は、名古屋市を中心に、長年「温度と空気をデザインする」をコンセプトに掲げ、省エネにこだわった快適な住まいづくりを行なっています。
私たちが自信を持ってご提供するのは、ずばり“9つのVALUE”。
高層建築から土木工事まで、幅広い施工経験を持つベテラン技術者です。専門性と独自性を高め、高機能・高性能住宅をご提案していきます。
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