家づくりコラム

2023.11.10

木造住宅は構造計算されていないって本当?必要性や四号特例縮小に伴う義務化について解説

木造住宅の構造計算・必要性は?

 

地震大国である日本に家を建てる際、重要視しなくてはいけないのが「耐震性」です。

それを客観的に評価する指標となるのが、構造計算のデータです。

ところが、よくある二階建て以下の木造住宅の中には、構造計算されていないものも多数あります。

では、なぜそのような事態が起きているのでしょうか?

今回は、木造住宅における構造計算の必要性や、2025年から義務化になる経緯について、建築士が詳しく解説します。

「地震に強い家」「ずっと安心して住み続けられる家」を建てたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

コラムのポイント

■ 現在の建築基準法では木造二階建て・延床面積500㎡以下の建築物においては、確認申請時の構造計算が義務化されていません。

■ 2025年以降は「四号特例縮小」によって、木造二階建て住宅にも構造計算が義務化されます。

■ 構造計算は、義務化されていないとしても安全性を客観的かつ正確に確かめる上で欠かせない作業です。

■“R+house・国松工務店”では、全棟において構造計算を行い、高耐震の住宅をご提供しています。

 

 

木造住宅における構造計算とは?

木造住宅の構造計算とは

 

建物には、それ自体の自重や、積載荷重の他に、地震力や積雪荷重、風圧、土圧など、様々な力が加わるため、それを想定した構造耐力が欠かせません。

そのため、設計時にはこれらの外力に対する抵抗力を計算して、十分な安全性があるかを確認します。

これが、いわゆる「構造計算」です。

確認する数値の種類によって、計算方法が異なります。

 

ルート1「許容応力度計算」

自重や地震力や風力などに対する応力(外力が加わる際の物体の内部に生ずる抵抗力)が建築材料の耐力以上であることを確かめる

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ルート2「許容応力度等計算」

建物へ外力が加わった際に想定される変形率などが基準以下であることを確かめる

 

木造二階建て以下の一般的な大きさの木造住宅においては、「許容応力度計算」および「許容応力度等計算」まで行うと、“構造計算された”と言えます。

それ以上の計算は建物規模が大きくなった場合にのみ実施されるのが通常です。

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ルート3「保有水平耐力計算」

継続的な積雪や強風、中程度の地震の力を受けても構造部材が損傷しないことを確認する

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ルート4「限界耐力計算」

3階建て以上もしくは面積500㎡以上の木造住宅にて、外力にどこまで耐えられるのか限界点を確かめる

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ルート5「時刻暦応答解析」※木造住宅ではまず実施されない

高層建築物等に用いられ、建築物を質量・ばね・減衰でモデル化して地動加速度を与え、各階の応答加速度や変位を確かめる

 

これらの計算方法とは別に、簡易的な計算方法としてよく用いられるのが、「壁量計算」です。

地震などの外力への構造耐力があるかどうかを、耐力壁の仕様や数量、配置から推測します。(建築基準法施行令第46条「構造耐力上必要な軸組等」

二階建て以下で一般的な大きさの木造住宅においては、速やかに計算できるため、構造計算の代わりに多くの住宅で行われてきました。

しかし、近年多様化する工法や建築材料には対応しきれず、あくまでも概略を知ることしかできない点がデメリットです。

そのため、構造の耐震性を重視する工務店やハウスメーカーでは、壁量計算だけに留めず、許容応力度計算や許容応力度等計算などの構造計算を行っています。

 

 

構造計算されない場合があるって本当?その理由は?

 

総務省の調べによると、2021年時点で全国にある住宅のうち木造住宅は「58.1%」です。

2002年からの新築住宅戸数の推移を見ると、総戸数は変動しているものの、木造住宅の新築戸数はそれほど変わっていないことから、信頼性の高さがうかがえます。

 

木造住宅の新築戸数推移

(引用:国土交通省|令和4年度住宅経済関連データ|木造住宅建設戸数の推移

 

しかし、ここで驚くべきことが、その8割以上が設計時に構造計算されていないという点です。

何故なら、現在の建築基準法では、下記に当てはまる木造住宅への構造計算は義務化されていないからです。

 

  • ・二階建て以下
  • ・延べ床面積500㎡以下
  • ・建物高さが13m以下もしくは軒高が9m以下

 

では、どのように住宅の安全性を担保しているのでしょうか?

ここでキーワードとなるのが、「仕様規定」です。

建築基準法で定められている仕様規定とは、建物の安全性を確保するために「耐震・防火・耐火・避難等」について設けられた基準を意味します。

この仕様規定を守ることで、最低限の住宅性能が確保されるのです。

ただし、仕様規定への適合性についても、一般的な二階建て以下の住宅であれば、建築確認申請をする際に証明書類を提出する必要はないため、安全性は設計士に委ねられています。

 

建築士の技術水準、建築物の敷地、構造及び用途その他の事情を勘案して、建築士及び建築物の区分に応じ、建築主事の審査を要しないこととしても建築物の安全上、防火上及び衛生上支障がないと認められる規定を定めるものとする。

(引用:建築基準法第6条の4「建築物の建築に関する確認の特例」

 

しかし、度重なる大地震の際に、今まで安全とされてきた新耐震基準を満たした住宅が数多く被災しました。

2016年に発生した熊本地震では、「2000年耐震基準」を満たした住宅の中にも大破もしくは倒壊している住宅が出てしまったのです。

 

熊本地震における木造住宅の被災状況

(引用:国土交通省|「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」

 

このことをきっかけに、これまでの建築基準法による規定を改正する動きが始まりました。

その一つが、2022年に決議された「4号特例縮小法案」です。

 

ポイント

建築基準法で定められた規定は、あくまでも「最低限」の性能を示したものであり、それをクリアしていれば安全という訳ではありません。

そのため、確かな構造耐力を備えた住宅にするために、詳細まで確認する構造計算が欠かせません。

“R+house・国松工務店”では、全棟において構造計算を実施し、長期優良住宅性能基準でもある「耐震等級3」を標準仕様としています。

 

 

 

2025年から木造住宅における構造計算が義務化|四号特例縮小とは?

木造住宅も構造計算が義務化に

 

2025年以降に建築確認される全ての建築物において、木造計算の構造計算に関する規定が見直されました。

それまでは、一定の条件を満たした「四号建築物」の建築確認審査において、その一部を省略できましたが、「四号建築物」がなくなり、「新二号建築物」と「新三号建築物」へ分類されることとなったのです。

 

〈四号特例縮小前〉

  • 特殊建築物ではない(不特定多数が利用しない)
  • 木造二階建て以下
  • 延床面積が500㎡以下
  • 建物高さが13m以下もしくは軒高さが9m以下

上記に該当する建築物は、建築確認審査時に構造計算などの実施を省略可能

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〈四号特例縮小後〉

「新二号建築物(木造二階建て以下・延べ床面積200㎡超)」は、全ての地域において建築確認審査時に構造計算などの実施を省略“不可”

「新三号建築物(木造平屋建て・延べ床面積200㎡以下)」は、建築確認審査時に構造計算などの実施を省略“可能”

 

「四号特例の縮小」によって、2025年以降は一般的な木造二階建て住宅の建築確認申請時に、仕様規定を満たしていることを証明する資料や、構造計算データの提出が求められます。

 

四号特例

(引用:国土交通省|4号特例が変わります

 

今まで構造計算を行ってこなかった工務店やハウスメーカーは、四号特例縮小に伴い、業務内容や業務量が大きく変わります。

会社によっては、これまでのやり方では対応できない可能性すらあるのです。

建設コストも“今まで通り”とはいかない会社も多いでしょう。

ここで重要なポイントは、今までも全棟で構造計算をしていた会社を選ぶという点です。

 

ポイント

今までも構造計算を数多くしてきた会社でしたら、四号特例が縮小されても業務内容は変わりません。

また、それまで培った経験や技術が高いため、安心して耐震性の高い住宅の設計施工を任せられます。

 

 

 

 

“地震に強い家”の設計は構造計算が得意な会社がおすすめ

四号特例縮小以前でも構造計算が得意な建築会社がおすすめ

 

“地震に強い家”を建てたい方は、会社選びにもこだわりましょう。

「2025年までに家を建てれば構造計算しなくていい」と思うかもしれませんが、これはあくまでも建築基準法上のことであり、本当に安心して暮らせる住宅かどうかは別の話です。

“R+house・国松工務店”の手掛ける住宅は、全棟において構造計算を行い「認定長期優良住宅・耐震等級3」が標準仕様。

耐震等級3“相当・同等”ではなく、「適合証明書」を取得した認定住宅なので、税特例や各種補助金の対象となります。

“R+house・国松工務店”の住宅が持つ地震に対する強みは主に5点です。

 

R+house・国松工務店の建てる住宅が地震に強い理由

① オリジナルRパネルを用いた耐震パネル工法の採用
② 構造専門の建築士による詳細な構造計算と厳しい施工チェック
③ 1棟ごとに個別構造計算を実施
④ 高層ビルにも用いられる“粘断性体”によって「高耐震+超制震」を実現
⑤ 耐震等級3仕様の場合は、「あんしん地震保証プレミアム」で地震による倒壊・破損に対して修理・建て替え費用を10年間100%保証

 

ポイント

R+house・国松工務店の住宅は、耐震性・制振性だけではなく、「夏は涼しく、冬は暖かい家」に欠かせない高い気密性・断熱性も兼ね備えています。

そのため、快適な住環境はもちろん、省エネ性も標準装備です。

▶︎お問い合わせはこちらから

 

 

 

 

 

愛知で“長寿命”な住宅を建てたい方はR+houseへご相談を

 

住宅の快適性を実現してさらに“長寿命化”させるためには、断熱性・気密性、そして何より省エネ性が欠かせません。

“R+house・国松工務店”は、名古屋市を中心に、長年「温度と空気をデザインする」をコンセプトに、省エネにこだわった快適な住まいづくりを行なっています。

私たちが自信を持ってご提供するのは、ずばり“9つのVALUE”です。

 

技術者集団

高層建築から土木工事まで、幅広い施工経験を持つベテラン技術者です。

専門性と独自性を高め、高機能・高性能住宅をご提案していきます。

 

高耐震

私たちが手掛ける住宅はすべて認定長期優良住宅+耐震等級3標準(※)仕様。

一般的にはあまり考慮されない、重心・剛芯・バランスも重視しています。

※耐震等級3相当もしくは同等ではなく「適合証明書」を取得した認定住宅です。

 

粘断震工法(オプション)

高層ビルにも用いられている粘断性体を使用。

住宅用制震工法により高耐震+超制震を実現します。

大規模な地震発生時にも、地震エネルギーを約80%吸収し、建物変形量を約1/2に軽減します。

 

超高気密

気密性を示すC値は、R+house標準の1(cm²/m²)以下を大きく上回る高気密を実現。

全棟実測試験を行い、C値0.5(cm²/m²)以上の場合は、施工のやり直しを行っています。

 

エネパス住宅

最高峰の断熱材と太陽光発電システム。

日々の電気料金の軽減にも貢献します。

 

温度バリアフリー

地中熱利用全熱交換器型循環システム+エアーサイクルを標準装備。

温度差のない住環境を実現することで、結露によるカビ・ダニの軽減、冬のヒートショックによる家庭内事故、冷え性・低体温症など、家の温熱環境が身体に与える影響に配慮しています。

 

高環境

床暖房を必要としない施工方法と空気の対流を考えた設計により、ストレスを軽減。

大きな吹き抜けを設けることでさらに冷暖房効率が良くなり、エアコン1台で家中、高環境が得られます。

 

高濃度水素生活

家族で使用する全ての水に、自然の原理から生まれた最先端技術の「生命の水」を採用。

酸化反応を抑制し活性酸素を減少させ、自然治癒力やデトックス効果を促進します。

高濃度の水素を体内に取り込むことで、悪玉活性酸素を体内から排出し免疫を高めます。

健康寿命「健康促進+美+若さ」の追及に役立てていただけます。

 

抗アレルゲン住宅

私たちが扱う住宅はすべて抗アレルゲン仕様。

PM2.5、ハウスダスト、花粉、粉塵、煤塵、黄砂、ダニなどを特殊なフィルターで取り除き空気を浄化できます。

さらにイオン化することで、消臭・除菌やカビの撃退へ。

家中クリーンな空気環境で、アレルギー軽減へとつなげます。

 

家の長寿命化だけではなく、家族の健康も守れる“R+house”の住宅。

高性能住宅の建設をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

▶︎お問い合わせはこちらから

 

 

 

 

 

まとめ

現時点で、木造住宅における構造計算は義務化されていません。

そのため、半数以上の住宅において構造計算がされておらず、安全性は建築士の技術に委ねられているのが現状です。

しかし、地震や台風などの自然災害が多い日本においては、建築基準法で定められた“最低限の性能レベル”を満たしているだけでは不十分かもしれません。

2025年からは二階建て木造住宅へも構造計算が義務化されますが、それ以前に家を建てる場合にも、高い耐震性を実現できる会社へ相談するのがおすすめです。

機能・デザイン性に富んだ高性能住宅を建てたい方は、ぜひ“R+house 国松工務店”へご相談ください。

 

 

 

 

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100名以上在籍する建築家が、お客様のご予算や好みにピッタリなマイホームをご提案いたします。

名古屋市の国松工務店が主体となり、普通の注文住宅と同じような手順・予算で建築家との家づくりをサポートします。

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監修者情報

国松工務店【R+house 名古屋西・緑・東海】編集部

国松工務店【R+house 名古屋西・緑・東海】編集部

国松工務店【R+house 名古屋西・緑・東海】では、「家族の数だけ住まい方がある」という考えのもと、施主さんの趣味や価値観、生活スタイル、将来のライフブランまでをヒアリング。未来を見据えた理想の暮らしを提案するため、建築家が土地の環境を確認したうえで設計しています。
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